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わたしたち、みんなアーティスト・ベイビー

成澤布美子(なりさわ・ふみこ)

NHK-FM・DJ、フリーアナウンサー・放送作家を経て、子供支援活動を開始。「あらら企画」代表、「心に星を」市民プロジェクト代表。

第2回 人生の中で育まれた表現とは

皆さんは、自分が生まれ変わったような瞬間って・・・経験ありますか?

私は出産の時、自分がまっさらな人間に生まれ変わったような気持ちを体験しました。それまでの様々な感情、葛藤、後悔さえ、取り払われたような心境でした。

子供と一緒に、また一から人生を生きたい!・・・そう思えました。

自分が子供だった時分を明確には覚えていません。
ですが、目の前にいる子供が何を感じ、何を思うのか、想像することは面白い!

そして、自分自身が影響を受けた自然環境、音楽・本・舞台・映画の世界など…
美しいものを美しいと感じ、目に見えない大切ものを感じてくれるといいなと、心から願いました。

が・・・人生はわからないものです。

息子が3歳の頃です。あるトラブルから鬱を発症します。
目の前には自分を必要としている我が子が居る。
けれど、自分が自分でなくなってしまった・・・本当に必死な思いでした。

立ち直れたのは、子供たちの笑顔!そして人形劇を作るという体験でした。
息子が通っていた幼稚園で、サークル仲間と作った人形劇を楽しんでくれ、笑ってくれた子供たちのおかげでした。

その時、心に誓ったのです。
救ってくれた子供たちに恩返しをしようと…。

「あらら企画」という市民活動団体を立ち上げました。
ママ達を中心に、親子で演劇・コンサート・イベントを作り上げるという試みです。音楽家・演劇人など、プロの方々にもご協力を頂き、子供と大人が一緒に作る体験から、お互いに学びがあると思いました。 「笑顔で楽しく!」をモットーに!

が・・・子供が成長してくると、子供たちの抱える問題が身近になってきます。
中学生ともなると、いじめや不登校も多くなってきます。
子供たちの「生きづらさ」が見えてきました。

育った環境の中、また地域でのボランティア活動の中で障がい者や、その家族との関りも深くなっていきました。発達障がいの子供たちも増えています。

『共生』の心が大事なんじゃないかと・・・お節介おばさんは思ったのです。

結局のところ、子供は大人の真似をします。
大人から変わっていかないと、子供の世界も変えられない。
自らの経験から、そう思いました。

『心に星を』市民プロジェクトを立ち上げました。
演劇や音楽、アートの力を借りて『共生』の心を育めるようにと…。
市民からの発信であり、老若男女、世代を超えた人たちと活動を共にすることで、私たち自身が気づき、人から人へと思いが繋がっていくようにと願いました。

まずは、自閉症児を題材とした児童演劇を作り、障がい児に対する理解を少しずつでも広げられるようにと、川崎市の助成金事業として三年間、取り組みました。

が・・・「障がい」という明確なテーマは、かえって困難だということも経験しました。当事者の方々にとって、それが受け入れがたい事にもなるのだと知りました。

『ふりだし』に戻ります。
その人の立場になって考えてみる。その気持ちを想像してみる。そう学びました。

そこに一筋の光明が・・・『アプライド・ドラマ』との出会いです!!!
『アプライド・ドラマ』とは、物語の登場人物に寄り添い、その人物の思考や感情を疑似体験し、人間への理解を深めていくという演劇的な手法です。
2年前から劇場の工房にて、月一回のワークショップを始めました。

そしてまた・・・『川上貞奴』という日本の歴史上、唯一無二の存在である女性との出会いが、新たな展開を生み始めました。それも2年前の出来事でした。

2つの『アーティスト・ベイビー』が、むくむくと動き出したのです。

次回は『アプライド・ドラマ』と『川上貞奴』について、お話しさせていただきますね。

☆お読みいただきありがとうございました。
皆さんと今を共有できて嬉しいです。また次回も楽しみにしてくださいね。